* トランプ大統領の署名により、ステーブルコインの規制枠組みを確立する「ジーニアス(GENIUS)法」が成立した。* 世界最大のステーブルコイン発行者であるテザーのCEOは、米国導入を本格化させていると述べた。* 一方、サークルのCEOは、ジーニアス法が米国の発行体向けに定めたルールにすでに準拠していると語った。トランプ大統領がステーブルコインを米国の金融システムに組み込む法案に署名した数分後、世界最大のステーブルコイン「USDT」を発行するテザー(Tether)のCEOと、ライバルとなる「USDC」を発行するサークル(Circle)のCEOはそれぞれ、新しい法律を受け入れる準備は整っていると語った。## テザーのアルドイノCEOテザーのCEO、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は、同社のビジネスの一部を米国に移す計画を強調し、新しいステーブルコインを機関投資家向けに提供することに重点を置くとともに、USDTについても外国発行者としてジーニアス法に準拠させる意向だと述べた。これは同社がすでに保有している莫大な準備資産に対する新たな監査体制の構築と変更を意味するが、アルドイノCEOは「調整」が必要になるとしつつも、笑顔を交えながら、昨年は「130億ドルの利益」を出しており、「対応は可能」と語った。「テザーはジーニアス法を遵守する」とアルドイノCEOは述べ、外国発行者としての要件を満たすための作業を開始すると続けた。米国展開に向け、今後3年で対応を進め、現状は進出を避けている米国向けに2種類のステーブルコインを運用する計画だと述べた。米国向けステーブルコイン(まだ発行されていない、USDTの第2バージョン)は、現状のUSDTとはまったく異なる用途を想定している。「機関投資家はきわめて効率的な市場に慣れており、1ベーシスポイント単位で計算する。だからこそ、新しい市場に適したものを作る必要がある」とアルドイノCEOはCoinDeskに語った。機関投資家向け製品は「決済と超々高効率に焦点を当てる」。## サークルのアレールCEO一方、米国に本社を置く、上場企業のサークルのCEO、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は「ジーニアス法は、サークルのビジネスの方法を法制化したものだ」と述べた。「我々は常に信頼され、透明性が高く、過去5年にわたって公開監査を受けてきた」とアレールCEOは述べた。さらにアレールCEOは、同法を見越してすでに米国のステーブルコインを取り巻く環境は急速に変化しており、「大手テック企業、コマース企業、金融機関」が参入に向けて準備しており、そうした動きを歓迎していると述べた。「連邦法が整えば、こうしたあらゆる企業にとって、この技術を基盤とし、開発し、資金の保管や移動を統合できるという青信号になる。そして、スマートコントラクトやプログラマビリティが可能にする新たなイノベーションにつながる」とアレールCEOは語った。ジーニアス法は、ステーブルコイン発行者に対して、きわめて限定的で、流動性の高い資産──主に米国債──によって、発行するステーブルコインを1対1で裏付けることを求める。また、裏付け資産(準備資産)の存在を常に確認するための厳格な監査プロセスも求める。## トランプ大統領は成果を強調テザーのアルドイノCEOは、同社の新しい最高財務責任者(CFO)サイモン・マクウィリアムズ(Simon McWilliams)氏が「ビッグ4」監査法人のいずれかとの契約獲得に向けた動き始めたと述べた。これは、トランプ政権の支援によって初めて実現可能になったという。実際、同社はトランプ政権と特別な関係も持っている。テザーの米国の準備資産の運用を担う金融大手キャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)の元CEO、ハワード・ルトニック(Howard Lutnick)氏は、トランプ政権の商務長官だ。ジーニアス法の署名式にあたって、他の業界幹部たちとともにホワイトハウスに招待され、トランプ大統領から名指しで謝辞を受けたことは、過去に米商品先物取引委員会(CFTC)やニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)との法的問題を経験してきたテザーにとって、大きな転換点となった。トランプ大統領は18日の署名式で、暗号資産業界を前政権との法的問題から救い出したと繰り返し述べた。さらにジーニアス法について、まるで米国の金融システムを近代化するために暗号資産を導入するという歴史的な偉業を成し遂げたかのように語った。「この法案の下で、古いシステム全体が最先端の暗号資産技術を使った21世紀型のアップグレードの対象となる」と大統領は述べ、その後、議員および業界幹部たちに囲まれながら署名した。「明日は新しい日であり、新しい時代が始まる」とテザーのアルドイノCEOは署名式の後に語った。「我々はここに招かれ、大統領から直接名指しで呼ばれたことを非常に誇りに思っている。これは、ここ数年で我々のチームが積み上げてきたすべての努力の証だ」
ジーニアス法成立、トップ2社の反応は──テザーCEO「法に準拠して米国展開へ」、サークルCEO「すでに準拠済み」 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
トランプ大統領がステーブルコインを米国の金融システムに組み込む法案に署名した数分後、世界最大のステーブルコイン「USDT」を発行するテザー(Tether)のCEOと、ライバルとなる「USDC」を発行するサークル(Circle)のCEOはそれぞれ、新しい法律を受け入れる準備は整っていると語った。
テザーのアルドイノCEO
テザーのCEO、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は、同社のビジネスの一部を米国に移す計画を強調し、新しいステーブルコインを機関投資家向けに提供することに重点を置くとともに、USDTについても外国発行者としてジーニアス法に準拠させる意向だと述べた。これは同社がすでに保有している莫大な準備資産に対する新たな監査体制の構築と変更を意味するが、アルドイノCEOは「調整」が必要になるとしつつも、笑顔を交えながら、昨年は「130億ドルの利益」を出しており、「対応は可能」と語った。
「テザーはジーニアス法を遵守する」とアルドイノCEOは述べ、外国発行者としての要件を満たすための作業を開始すると続けた。米国展開に向け、今後3年で対応を進め、現状は進出を避けている米国向けに2種類のステーブルコインを運用する計画だと述べた。
米国向けステーブルコイン(まだ発行されていない、USDTの第2バージョン)は、現状のUSDTとはまったく異なる用途を想定している。
「機関投資家はきわめて効率的な市場に慣れており、1ベーシスポイント単位で計算する。だからこそ、新しい市場に適したものを作る必要がある」とアルドイノCEOはCoinDeskに語った。
機関投資家向け製品は「決済と超々高効率に焦点を当てる」。
サークルのアレールCEO
一方、米国に本社を置く、上場企業のサークルのCEO、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は「ジーニアス法は、サークルのビジネスの方法を法制化したものだ」と述べた。
「我々は常に信頼され、透明性が高く、過去5年にわたって公開監査を受けてきた」とアレールCEOは述べた。
さらにアレールCEOは、同法を見越してすでに米国のステーブルコインを取り巻く環境は急速に変化しており、「大手テック企業、コマース企業、金融機関」が参入に向けて準備しており、そうした動きを歓迎していると述べた。
「連邦法が整えば、こうしたあらゆる企業にとって、この技術を基盤とし、開発し、資金の保管や移動を統合できるという青信号になる。そして、スマートコントラクトやプログラマビリティが可能にする新たなイノベーションにつながる」とアレールCEOは語った。
ジーニアス法は、ステーブルコイン発行者に対して、きわめて限定的で、流動性の高い資産──主に米国債──によって、発行するステーブルコインを1対1で裏付けることを求める。また、裏付け資産(準備資産)の存在を常に確認するための厳格な監査プロセスも求める。
トランプ大統領は成果を強調
テザーのアルドイノCEOは、同社の新しい最高財務責任者(CFO)サイモン・マクウィリアムズ(Simon McWilliams)氏が「ビッグ4」監査法人のいずれかとの契約獲得に向けた動き始めたと述べた。これは、トランプ政権の支援によって初めて実現可能になったという。
実際、同社はトランプ政権と特別な関係も持っている。テザーの米国の準備資産の運用を担う金融大手キャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)の元CEO、ハワード・ルトニック(Howard Lutnick)氏は、トランプ政権の商務長官だ。
ジーニアス法の署名式にあたって、他の業界幹部たちとともにホワイトハウスに招待され、トランプ大統領から名指しで謝辞を受けたことは、過去に米商品先物取引委員会(CFTC)やニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)との法的問題を経験してきたテザーにとって、大きな転換点となった。
トランプ大統領は18日の署名式で、暗号資産業界を前政権との法的問題から救い出したと繰り返し述べた。さらにジーニアス法について、まるで米国の金融システムを近代化するために暗号資産を導入するという歴史的な偉業を成し遂げたかのように語った。
「この法案の下で、古いシステム全体が最先端の暗号資産技術を使った21世紀型のアップグレードの対象となる」と大統領は述べ、その後、議員および業界幹部たちに囲まれながら署名した。
「明日は新しい日であり、新しい時代が始まる」とテザーのアルドイノCEOは署名式の後に語った。
「我々はここに招かれ、大統領から直接名指しで呼ばれたことを非常に誇りに思っている。これは、ここ数年で我々のチームが積み上げてきたすべての努力の証だ」