## 堅調に推移する米国株、出遅れていた銘柄群・セクターに資金流入・S&P500は6月27日に史上最高値を更新した。これはトランプ政権による関税発動前、2月19日に記録した高値を約4ヶ月ぶりに上回ったことになる。その後、6月27日以降も上昇基調は続き、これまでに5回の史上最高値を更新。直近では7月10日にも最高値をつけ、その後は若干の調整が入っているものの、年初来のリターンは+6.6%と、米国株は堅調に推移している。・ナスダック総合は、7月14日にも史上最高値を更新と、トランプ米大統領の強硬な関税政策にも関わらず、年初から+6.9%の上げとなっている。・その中で注目されたのが、エヌビディア[NVDA]である。先週(7月7日週)には時価総額が4兆ドル(およそ600兆円)を突破。アップル[AAPL]が2024年末につけた過去最高の時価総額を上回っている。エヌビディアの株価は2025年に入り、これまでで22%上昇。トランプ関税に再度注目が当たる中、また、FOMC(米連邦公開市場委員会)を前に市場全体が静観ムードにある中で、エヌビディア株は市場を牽引する役割を果たしてきた。・もう1つの注目すべき銘柄がネットフリックス[NFLX]である。同社は2025年に入りこれまでで42%上昇、過去12ヶ月では95%上昇と、ほぼ倍という驚異的なパフォーマンスとなっている。この上昇の背景には、パスワード共有対策や、広告付きプランの導入などにより加入者が急増したことがある。・これまでマグニフィセント・セブンのような大型銘柄しか上がっていないという点が問題視されてきたが、特に7月に入ってから、マーケット全体に広がりが出てきている。S&P500指数は7月に入りこれまでに+1%の上げとなっているが、S&P500イコールウエイト指数は+1.5%上昇と、時価総額ベースのS&P500のリターンを上回っている。つまり、マグニフィセント・セブンのような時価総額の大きな銘柄だけでなく、普通の時価総額の銘柄もしっかりと上がっているということになる。さらには、S&P600(小型株指数)は+3.5%の上げとなっており、明らかに、これまで出遅れていた銘柄群やセクターに資金が流入している様子がうかがえる。## 第2四半期決算発表、事前予想は慎重・現地時間の今日7月15日からいよいよ本格的な決算シーズンが始まる。7月11日から8月1日までの3週間の間に、S&P500構成銘柄のうち、時価総額ベースで73%を占める企業が決算を発表する予定である。S&P500の2021年第4四半期から2026年の第3四半期までの前年同期比の業績予想を見ると。前回、2025年第1四半期については、前年同期比で+13.6%という力強い増益だったのに対し、今回2025年第2四半期については、ややスローダウンを見込んでいる。現時点の市場の予想では、業績の成長率は前年同期比で+2.5%となっている。・これは一見すると、「前回の+13.6%に比べて、今回の+2.5%はあまりにも物足りない」と思えるが、前回の事前予想は+6.7%だった。それが実際には+13.6%という好結果となった。これはトランプ政権による関税措置の影響が最大限に織り込まれていたものの、結果的には思ったほど悪くなかったということである。今回も、マーケットの事前予想は、非常に慎重になっていると思われ、実際は上振れする可能性が極めて高いだろう。・今回の決算シーズン、S&P500全体では前年比で+2.5%の増益が予想されているが、セクター別に見るとその伸びは大きくばらついている。中でもきわ立っているのがITセクターで、前年同期比で+16.6%の増益が見込まれている。また、通信サービスセクターも+12.8%の増益が予想されており、こちらもIT関連業種として、今回の決算発表全体を牽引する役割を果たすと見られている。・ITセクターの中でも、特に半導体セクターは前年同期比で+34%の増益が予想され、マーケットの期待がかなり高まっている。これまでエヌビディアをはじめとする半導体関連の銘柄が株価のけん引役となってきたのも、「今回も業績が良さそうだ」という期待が背景にある。そのため、もし発表された決算が予想をやや下回るような内容だった場合には、いったん株価が下がる可能性も考えておいたほうがよい。・反対に、決算がしっかりとした内容だったとしても、すでにある程度株価に織り込まれている場合は、上昇が限定的になることもある。「今回の発表の内容」と「期待値のギャップ」の両方に注目する必要がある。・もう一つの注目点は、トランプ米大統領の関税政策によって企業にかかるコストが上昇している中、企業がどの程度、製品やサービスの価格に転嫁せず、自社で吸収できるかという点である。今後の企業業績に大きく影響する可能性があるため、注意が必要である。## 次のマーケットのカタリストは金融セクターの決算発表・今週(7月14日週)はS&P500構成銘柄のうち38社が決算を発表する予定で、そのうち半数を金融機関が占めている。次のマーケットのカタリストとなるのは、金融セクターの決算発表だろう。最近のイールドカーブのスティープニング、長短金利差の拡大は、銀行にとっては追い風となりやすく、商業銀行や地域銀行の収益性の改善につながる可能性がある。・銀行については、今週は7月15日(火)にJPモルガン・チェース[JPM]、シティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]が決算を発表し、翌16日(水)にはバンク・オブ・アメリカ[BAC]、ゴールドマン・サックス[GS]、モルガン・スタンレー[MS]が続く。今回の決算では、利ザヤの縮小がどの程度影響しているか、商業用不動産関連のエクスポージャー、保有リスクが大きな注目点となりそうだ。・また、非金融の時価総額の大きなところでは、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ](16日)、GEエアロスペース(ゼネラル・エレクトリック)[GE](17日)、ネットフリックス[NFLX](17日)といった企業の決算にも市場の関心が集まっている。
史上最高値を更新する米国株、決算発表シーズンスタート | ストックボイス | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
堅調に推移する米国株、出遅れていた銘柄群・セクターに資金流入
・S&P500は6月27日に史上最高値を更新した。これはトランプ政権による関税発動前、2月19日に記録した高値を約4ヶ月ぶりに上回ったことになる。その後、6月27日以降も上昇基調は続き、これまでに5回の史上最高値を更新。直近では7月10日にも最高値をつけ、その後は若干の調整が入っているものの、年初来のリターンは+6.6%と、米国株は堅調に推移している。
・ナスダック総合は、7月14日にも史上最高値を更新と、トランプ米大統領の強硬な関税政策にも関わらず、年初から+6.9%の上げとなっている。
・その中で注目されたのが、エヌビディア[NVDA]である。先週(7月7日週)には時価総額が4兆ドル(およそ600兆円)を突破。アップル[AAPL]が2024年末につけた過去最高の時価総額を上回っている。エヌビディアの株価は2025年に入り、これまでで22%上昇。トランプ関税に再度注目が当たる中、また、FOMC(米連邦公開市場委員会)を前に市場全体が静観ムードにある中で、エヌビディア株は市場を牽引する役割を果たしてきた。
・もう1つの注目すべき銘柄がネットフリックス[NFLX]である。同社は2025年に入りこれまでで42%上昇、過去12ヶ月では95%上昇と、ほぼ倍という驚異的なパフォーマンスとなっている。この上昇の背景には、パスワード共有対策や、広告付きプランの導入などにより加入者が急増したことがある。
・これまでマグニフィセント・セブンのような大型銘柄しか上がっていないという点が問題視されてきたが、特に7月に入ってから、マーケット全体に広がりが出てきている。S&P500指数は7月に入りこれまでに+1%の上げとなっているが、S&P500イコールウエイト指数は+1.5%上昇と、時価総額ベースのS&P500のリターンを上回っている。つまり、マグニフィセント・セブンのような時価総額の大きな銘柄だけでなく、普通の時価総額の銘柄もしっかりと上がっているということになる。さらには、S&P600(小型株指数)は+3.5%の上げとなっており、明らかに、これまで出遅れていた銘柄群やセクターに資金が流入している様子がうかがえる。
第2四半期決算発表、事前予想は慎重
・現地時間の今日7月15日からいよいよ本格的な決算シーズンが始まる。7月11日から8月1日までの3週間の間に、S&P500構成銘柄のうち、時価総額ベースで73%を占める企業が決算を発表する予定である。S&P500の2021年第4四半期から2026年の第3四半期までの前年同期比の業績予想を見ると。前回、2025年第1四半期については、前年同期比で+13.6%という力強い増益だったのに対し、今回2025年第2四半期については、ややスローダウンを見込んでいる。現時点の市場の予想では、業績の成長率は前年同期比で+2.5%となっている。
・これは一見すると、「前回の+13.6%に比べて、今回の+2.5%はあまりにも物足りない」と思えるが、前回の事前予想は+6.7%だった。それが実際には+13.6%という好結果となった。これはトランプ政権による関税措置の影響が最大限に織り込まれていたものの、結果的には思ったほど悪くなかったということである。今回も、マーケットの事前予想は、非常に慎重になっていると思われ、実際は上振れする可能性が極めて高いだろう。
・今回の決算シーズン、S&P500全体では前年比で+2.5%の増益が予想されているが、セクター別に見るとその伸びは大きくばらついている。中でもきわ立っているのがITセクターで、前年同期比で+16.6%の増益が見込まれている。また、通信サービスセクターも+12.8%の増益が予想されており、こちらもIT関連業種として、今回の決算発表全体を牽引する役割を果たすと見られている。
・ITセクターの中でも、特に半導体セクターは前年同期比で+34%の増益が予想され、マーケットの期待がかなり高まっている。これまでエヌビディアをはじめとする半導体関連の銘柄が株価のけん引役となってきたのも、「今回も業績が良さそうだ」という期待が背景にある。そのため、もし発表された決算が予想をやや下回るような内容だった場合には、いったん株価が下がる可能性も考えておいたほうがよい。
・反対に、決算がしっかりとした内容だったとしても、すでにある程度株価に織り込まれている場合は、上昇が限定的になることもある。「今回の発表の内容」と「期待値のギャップ」の両方に注目する必要がある。
・もう一つの注目点は、トランプ米大統領の関税政策によって企業にかかるコストが上昇している中、企業がどの程度、製品やサービスの価格に転嫁せず、自社で吸収できるかという点である。今後の企業業績に大きく影響する可能性があるため、注意が必要である。
次のマーケットのカタリストは金融セクターの決算発表
・今週(7月14日週)はS&P500構成銘柄のうち38社が決算を発表する予定で、そのうち半数を金融機関が占めている。次のマーケットのカタリストとなるのは、金融セクターの決算発表だろう。最近のイールドカーブのスティープニング、長短金利差の拡大は、銀行にとっては追い風となりやすく、商業銀行や地域銀行の収益性の改善につながる可能性がある。
・銀行については、今週は7月15日(火)にJPモルガン・チェース[JPM]、シティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]が決算を発表し、翌16日(水)にはバンク・オブ・アメリカ[BAC]、ゴールドマン・サックス[GS]、モルガン・スタンレー[MS]が続く。今回の決算では、利ザヤの縮小がどの程度影響しているか、商業用不動産関連のエクスポージャー、保有リスクが大きな注目点となりそうだ。
・また、非金融の時価総額の大きなところでは、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ](16日)、GEエアロスペース(ゼネラル・エレクトリック)[GE](17日)、ネットフリックス[NFLX](17日)といった企業の決算にも市場の関心が集まっている。